社内恋愛狂想曲
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、三島くんが来るまで少しお話ししない?」

本当は早く立ち去って欲しかったけれど、さすがに「いやです」とは言えないから、仕方なく黙ってうなずいた。

下坂課長補佐は私の向かいの席に座って、私のことを値踏みするようにじっと見る。

「佐野さんは三島くんと仲がいいのね」

「仲がいいというか……営業部にいた頃からよく気にかけていただいて、お世話になってます」

無難な受け答えをすると、下坂課長補佐は小首をかしげて口元に笑みを浮かべた。

「もしかして佐野さん、三島くんのこと好きだったりする?」

「えっ」

突然図星を突かれ、一瞬頭の中が真っ白になった。

だけどここで取り乱したり妙な態度を取ると、あとで三島課長に何を言われるかわからない。

「先輩として尊敬はしてますけど……好きとか、そんなんじゃありませんよ」

できるだけ平静を装ってそう答えると、下坂課長補佐は私の目をじっと見つめた。

「それならいいんだけど……ほら、三島くんって誰に対しても優しいし、すごく面倒見がいいでしょう?昔もそれで勘違いしちゃう女の子がたくさんいたから、気を付けなきゃダメよって、いつも言ってたの」

「はぁ……そうなんですね……」

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