社内恋愛狂想曲
三島課長の厚意は嬉しいと思うものの、お腹がいっぱいで、さすがにもうひとつは食べられそうにない。

三島課長は空になったプリンの容器を見つめている。

「……また先を超されたみたいだ」

「え?」

「ホントに俺はタイミングが悪いな」

プリンひとつでそんなに落ち込まなくてもいいのに、三島課長はがっくりと肩を落としている。

「すみません……。いただきたいのはやまやまなんですけど、もうお腹いっぱいで……。そうだ、下坂課長補佐に差し上げたらいかがですか?喜ばれると思いますよ」

私がそう言うと、三島課長は大きなため息をついた。

「そうじゃなくて……」

「え?」

「いや、やっぱり自分で食べるからいい。無理に押し付けるのは迷惑だもんな。佐野は気にしなくていいよ」

「はぁ……」

三島課長はプリンを持って席を立った。

なんだかやけにプリンにこだわるなとは思ったけど、もしかしたらこの間も三島課長からのプリンを受け取らなかったことを気にしているんだろうか。

こんなことなら無理にでも有田課長にプリンを渡しておけば良かった。

しかし食べてしまったものはしょうがない。

私も食器を下げて社員食堂を後にした。


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