社内恋愛狂想曲
「俺、やっぱりもう一度頑張ってみようかな……」

三島課長は私の肩に体の重みを預けたまま呟く。

「頑張るって……何をです?」

「うん……。すぐそばにいるのに、嫌われたり避けられたりするのが怖くて、何も言えずに俺の方を見てくれるのを何年も待ってたけど……ずっと待ってるだけじゃ、全然気付いてもらえそうにないから。もし結果がダメだったとしても、自分の気持ちをちゃんと伝えないと、俺は一歩も先に進めないんだ、きっと」

三島課長がずっと前から好きな人に、勇気を出して告白しようとしているのだと思うと、胸がキシキシと軋んだ音をたてて痛んだ。

下坂課長補佐が恋人でなくたって、三島課長に好きな人がいることには変わりない。

だったら私も、玉砕覚悟で三島課長に気持ちを伝えてみようか。

もしかしたら三島課長は、私に気持ちをぶつけられると困った顔をするかも知れない。

だけどこのまま三島課長が他の誰かと幸せになるのを見ているだけでは、私も一歩も前に進めない気がする。

「だったら私も……玉砕確定でも一度くらい頑張ってみようかな……」

私がそう言うと、三島課長は急に身を起こして強ばった顔で私を見た。

「……相手は有田課長?」

噂が三島課長の耳にも入っていたことに驚き、慌てて首を横に振った。

他の人にどう思われても、三島課長にだけは誤解されたくない。

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