社内恋愛狂想曲
「違いますよ!有田課長は上司としては尊敬していますけど、恋愛感情とかまったくないですから!三島課長まで変な噂を信じないでください!」

全力で否定すると、三島課長の表情が少し和らいだ。

「そうか……。だったら……この間話したかったけど話せなかったこと、聞いてくれるか?二次会のあとでいいから」

「……わかりました」

この間というのは、おそらく私が偽婚約を解消したいと言った日のことだろう。

一体それがなんの話かはわからないけれど、やっぱり話したいということは、きっと大事な話に違いない。

「その前に目の前の問題をなんとかしないとな……。志織、もう一度俺の婚約者になってくれる?」

「もちろんです」

私が素直にうなずくと、三島課長は少し笑って私の頭をポンポンと優しく叩いた。

久しぶりに見た三島課長の笑顔と、私に触れる優しい手の感触にホッとする。

さっきより顔色もずいぶん良くなったようだ。

「それじゃあ……店の中に戻ろうか」

「はい」

下坂課長補佐にヘタに怪しまれないように、私が先に店内に戻り、三島課長はその少しあとに戻ることにした。

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