社内恋愛狂想曲
「ナスビじゃなくて茄子でしょ?」

「えーっ、こっちではナスビって言わんのですか?知らんかったー!でもナスビはナスビやし、美味しいからまぁええか」

突然何を言い出すかと思ったけれど、葉月はまた茄子の漬け物に手を伸ばす。

下坂課長補佐はそんな葉月のことを値踏みするような目で見ている。

「木村さんって美人なだけじゃなくて面白いのね」

「そうですか?私なんか大阪ではめっちゃ普通ですけどね」

「大阪の人ってみんなそんなに美人なの?」

「大阪では美人よりオモロイの方が誉め言葉なんですよ。美人って言うたら、下坂課長補佐の方が私よりずっと美人やないですか。昔も今もめちゃめちゃモテるでしょ?ここらで恋の武勇伝のひとつでも聞かせてくださいよ」

なんと、ナスビを恋の話の前振りに使ってくるとは!

葉月のトークスキルのすごさにはいつも驚かされる。

美人の葉月に持ち上げられて、下坂課長補佐は得意気な顔をして笑っている。

「そりゃまぁ、それなりに恋愛はしてきたけど……言うほどモテないのよ」

「またまたご謙遜を!なんかあるでしょ?ええ男をおとす秘訣とか教えてくださいよ!」

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