社内恋愛狂想曲
そんなことはないとわかっていて、わざとそう尋ねた。

瀧内くんや伊藤くんがしょっちゅう泊まりに来てはいつも一緒に寝ているのに、私は別の部屋なんて納得がいかない。

「そんなことはないんだけど……」

私が顔を上げると、潤さんは視線をさまよわせながら困った顔をしている。

そんなに困った顔をされると、私まで困ってしまう。

潤さんがどうしてもダメと言うなら何もしなくてもいいから、せめて潤さんに抱きしめられて眠りたかったのに。

「わかりました、私と一緒に寝るのがそんなにいやなら、もういいです。おやすみなさい」

握っていた手を離して少しぶっきらぼうにそう言うと、潤さんは慌てて私の腕をつかむ。

「違う、全然いやじゃない」

「……本当にいやじゃない?」

私が念を押すように尋ねると、潤さんはコクンとうなずいた。

「潤さんがいやじゃないなら一緒がいいです。別の部屋だと会話もできないでしょう?それに……」

「それに……何?」

潤さんは私の手を優しく握って話の続きを促す。

「せっかく潤さんがそばにいるのに一緒にいられないのは、寂しいです……」

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