社内恋愛狂想曲
両手で潤さんの手を握りながらうつむいてそう言うと、潤さんは私の肩を抱き寄せて頭を撫でた。

「うん……俺もだ。志織がいいなら、俺の部屋においで」

「はい、もちろんです」

潤さんに肩を抱かれながら寝室に入ると、部屋の中は落ち着いたモノトーンの配色で、奥にはセミダブルのベッドがあった。

「じゃあこっちの部屋に布団運ぶから、ちょっと待ってて」

「えっ?!」

思わず大きな声をあげると、部屋を出ようとしていた潤さんは私の声に驚いて振り返る。

「ちょっと待って、潤さん。部屋は一緒でもやっぱり布団は別々なんですか?」

「そのつもりだけど……」

あんなに立派なベッドがあるのに?

なんのためのセミダブルだ!

さすがの私も潤さんの度を過ぎた真面目さがじれったくなってきた。

潤さんが今夜は意地でも私に手を出さないつもりでいるのだと思うと、私の中の負けず嫌いな性格に火がついて、何がなんでもその気にさせてみたくなる。

「潤さん……私の言ったこと聞いてました?」

「うん、だから一緒の部屋で……」

潤さんに鈍感だと言われた私が言うのもなんだけど、潤さんだってかなり鈍感だ。

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