社内恋愛狂想曲
超絶いい人なのはわかっていたけど、恋愛に対してあまりにも奥手で不器用過ぎる。

この調子ではラチが明かない。

潤さんのペースに合わせて待っていると、この先のステップに進むまで何年かかるかわからない。

だけど女の私からあまりにもグイグイ迫られたら、潤さんはドン引きしてしまうだろうから、なんとか潤さんの方からその気になるように、うまく煽って仕掛けるしかなさそうだ。

「私は潤さんと一緒がいいって言ったんですよ?同じ部屋でベッドと布団に分かれて寝たいなんて言ってません」

潤さんは毎晩自分が使っているであろうセミダブルのベッドをじっと見てから、私の方を向いた。

「……一緒に?」

「一緒に」

私が力強くうなずくと、潤さんは掛け布団をめくってベッドの上に座り、少しためらいがちに私に向かって両腕を広げた。

「……おいで、志織」

「はい!」

嬉しくて潤さんの胸に飛び込むと、勢い余って二人してベッドの上に転がった。

潤さんは驚いて目を丸くしたあと、私を抱き止めた体勢のまま、こらえきれず笑い出す。

「そんなに勢いつけなくても……」

おいでと言われて嬉しくて飛び込んで行くなんて、まるで人懐こい犬か小さな子どもみたいだ。

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