社内恋愛狂想曲
「……もう寝ようか」

えっ?これで終わり?

すっかりその気になっていた私はまた肩透かしを食って、思わず激しいツッコミを入れそうになった。

潤さんは何を考えてそんなに私を焦らすのか?

さっきまで忘れかけていた負けず嫌いにまた火がついた。

「寝るんですか?」

「そろそろ寝ないと朝になるよ?」

明日は……いや、正確にいうと今日は休みだから、朝になっても私は全然かまわないのに。

前に潤さんと話したホトトギスの例えを借りるとすれば、ホトトギスが鳴くまで気長に待つ潤さんと違って、私はやっぱりホトトギスが鳴くまで悠長に待っていられるほど気が長くはないらしい。

今まで自覚したことはなかったけれど、私は意外と気が短いようだ。

鳴かないからと言ってさすがに殺したりはしないけど、こうなったら何がなんでも鳴かせてやりたい。

また私の脳内で小さな私が作戦会議を始めた。

だいたい今夜のこのおかしな流れはどこから始まったのか?

たくさんの小さな私が腕組みをしながら、今夜の経過を遡り、甘い流れを止めたできごとを探す。

ああ、あのときだ。

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