社内恋愛狂想曲
私がこんなことを言うとは思っていなかったのか、潤さんは呆気にとられて言葉も出ないといった様子だ。

もしかして引かれてしまったかも知れない。

一応私の本能的な方の本音も打ち明けたことだし、ここは少し引き下がった方がいいだろう。

「だけど今日は潤さんの意志を尊重したいと思います。私を大事にしようと思ってくれている潤さんの気持ちはとても嬉しいので」

これも私の本音だ。

だけどそれを聞いた潤さんは複雑そうな顔をしている。

「志織にもそういう願望とかあるんだな……」

「好きな人限定ですけどね。潤さん以外の人なら断固お断りです。私は……もっと潤さんに触れたいし、私に触れて欲しいです」

潤さんは私を抱き寄せ、もう片方の手で私のあごをグイッと上げて、少し強引に唇を重ねた。

「……あんまり煽るな。本気で抑えがきかなくなる」

耳元で熱い吐息まじりに低く呟いた潤さんの声は少し掠れていた。

今まで知らなかった潤さんの色気に見事にあてられ、囁かれた耳の奥から伝わるように身体中がジンジンと熱を帯びる。

「でも……準備、しなかったんでしょ?」

「…………さっきした」

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