社内恋愛狂想曲
「じゃあそのお店に行ってみましょう」

それから私たちは、実家へのルートからほんの少し外れた場所にあるその和菓子屋さんに寄った。

ちょうど開店するところだったようで、店員が店先にのれんを出している。

「もう中に入っても大丈夫ですか?」

潤さんが声をかけると、店員は「どうぞ」とにこやかに笑った。

ショーケースの中に並んだお菓子はどれも美味しそうで目移りしてしまう。

「評判の栗饅頭と大福は外せないだろ。他にもいくつか見繕って、化粧箱に詰め合わせてもらおうか。どれがいいかな」

「そうですねぇ……」

季節に合わせて象られた色鮮やかな練り切りがとてもきれいで美味しそうだったので、その中からいくつか選んで、栗饅頭と大福、それと潤さんが選んだきんつばを一緒に箱に詰めてもらった。

両親の喜ぶ顔が目に浮かぶ。

車に戻ってシートベルトをしめながら、潤さんは紙袋の中を覗き込んだ。

「喜んでくれるかな?」

「すごく喜ぶと思いますよ。美味しいお茶と一緒に和菓子を夫婦で楽しむのが至福の時だっていつも言ってますから」

私がそう言うと、潤さんは車のエンジンをかけてカーナビの操作をしながら微笑んだ。

< 672 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop