社内恋愛狂想曲
潤さんは嬉しそうに笑って車を発進させた。

そんな潤さんの笑顔を見ると、胸の奥があたたかくなって、幸せな気持ちになる。

潤さんとならこの先何があっても、今の気持ちを忘れずにいられそうな気がした。


実家に着いたのはあと15分ほどで約束の11時になるという時間だった。

「あと15分か……。まだ少し早いかな?」

「いえ、母はせっかちなので、遅くなるよりはずっといいと思います」

手土産の和菓子の入った紙袋を持って車を降り、インターホンのボタンを押すと、息をつく間もなく母が玄関のドアを開けた。

なんとなく想像はしていたけど、せっかちな母のことだから、早起きして潤さんをお迎えする準備を整え、今か今かと待ち構えていたんだろう。

「おかえり」

「ただいま」

私に「おかえり」と言いながら、母の視線はもうすでに私の半歩後ろに立っている潤さんの方を向いている。

「はじめまして、三島です。本日は急な申し出でしたのに、お招きいただきましてありがとうございます」

潤さんはいつも以上に背筋を伸ばしてそう言うと、深々とお辞儀をした。

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