社内恋愛狂想曲
「えっ、そんなに大きな会社なの?」

思った以上の規模の大きさに驚き思わず声をあげると、潤さんはためらいがちにうなずいた。

「うん、志織もよく知ってる……。うちの課と取り引きもしてるし、志織自身も父の会社の商品を愛用してるみたいだし……」

「えーっと……どこだろう……?」

私が思い当たる社名を頭の中で探していると、母が両手でテーブルをバン!と叩いた。

「潤さん!気になってしかたないからさっさと会社名を言ってちょうだい!」

なかなかハッキリ言わない潤さんに、せっかちな母がついにしびれを切らした。

これには潤さんもかなり怯んでしまったようだ。

「すみません……。あじさい堂です……」

潤さんは少し申し訳なさそうに呟いた。

「えっ?!あじさい堂って……あのあじさい堂?!」

世界的に有名な化粧品メーカーの社名を告げられ、私と母は同時に同じことを口走る。

確かにあじさい堂は二課と古くから取り引きがあり、例の不倫騒ぎを起こすまでは護が担当していた。

そして私の愛用しているシャンプーやトリートメント、化粧品などのほとんどがあじさい堂の商品だ。

「知らなかった……。潤さんがあじさい堂の御曹司だったなんて……」

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