社内恋愛狂想曲
潤さんが結婚する相手は本当に私でいいのかとか、もし潤さんが企業のトップに立ったとしたら、極普通の家庭に育った極普通のOLの私に何ができるだろうなどと考えて、潤さんの妻になることが怖くなってしまったのだ。

「冷静になって考えたいから、少しだけ時間が欲しい……」

私がそう呟くと、潤さんはため息をついて、「わかった」とだけ返事をした。

そのあとは二人ともまた黙り込んだままだった。

マンションに着いて駐車場の来客用スペースに車を停めたあと、潤さんはシートベルトを外して私の方を向いた。

「もう少し一緒にいたいんだけど……いいかな」

ためらいがちに呟いた潤さんの声は少しかすれていた。

本当は一人になって考えたいと思っていたけど、潤さんを不安にさせてしまったのだと思うと申し訳なくて断ることができず、私は黙ってうなずいた。

車を降りて歩き出すと、潤さんはそっと私の手を握った。

そのまま手を繋いで部屋に戻り、キッチンでお湯を沸かしてコーヒーを淹れた。

潤さんはローテーブルの前に座ってネクタイをゆるめた。

テーブルの上にコーヒーを注いだマグカップをふたつ置いて、私も潤さんの向かいに座る。

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