社内恋愛狂想曲
私はこの先もきっと悩んだり迷ったり立ち止まったりするだろうけれど、潤さんと一緒に前に進むための最善の方法を考えながら、お互いを支え合って生きていきたい。

もし潤さんが望んでくれるのなら、今度は逃げ出したりせずに飛び込んで行こうと覚悟を決めた。

次に潤さんに会ったら私の気持ちを精一杯伝えようと思いながら、久しぶりの深い眠りに落ちた。


翌日は午前の回診が済んだあと検査を受け、病室に戻ると母がイスに座って待っていた。

顔にガーゼを貼られ、手足に包帯を巻き、左腕を三角巾で吊っている私の姿をなぞるように、母は上から下へ、下から上へと視線を往復させる。

「駅の階段から落ちたって聞いたけど……よく無事だったわね」

「まぁ……左腕の骨折と、すり傷と打撲が何か所かあるけど……お母さんが頑丈な体に産んでくれたおかげでその程度で済んだ」

私はそう答えながらベッドに横になる。

「素直でよろしい」

母は満足げにうなずいたあと、私の顔をじっと見る。

「……なに?顔になんかついてる?」

「ガーゼはついてるけど?」

冗談なんだか天然なんだか、母は真顔で答えた。

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