社内恋愛狂想曲
ガーゼがついているのは私だって知っている。

「そうじゃなくて……」

私がそう言うと、母は私の言いたいことがわかったようで、「ああ」と呟く。

「あんた、痩せたんじゃない?いや、痩せたってよりは、やつれたって感じかしら」

葉月と同じく母もまた、私の些細な変化に気付くようだ。

「そんなにひどい……?」

「ひどいわねぇ。あんたのことだから、あれからずっと悩んでたんでしょう?」

図星を突かれ、どう答えれば良いのかと考えながら視線をさまよわせていると、母はため息をついた。

「図星のようね。それで、潤さんとはちゃんと話し合ったの?」

潤さんに言われたことをそのまま母に伝えるのはなんとなく気が引けて、私はとりあえず、その話自体をなかったことにしようと決めた。

「あんまり……。日曜日はちょっと冷静に話せる状態じゃなかったし、月曜から昨日までは急な出張が入って会わなかったから」

「ふーん……。あんたがひどい顔してるから、私はてっきり別れたのかと思ったわ」

「……そんなことはないから」

「それならいいんだけど」

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