社内恋愛狂想曲
二次会であんなことがあったとはいえ、社会人として上司を無視するわけにはいかない。

「お疲れ様です」

私が軽く会釈をすると、下坂課長補佐は少し気まずそうに「お疲れ様です」と返した。

「出張帰りに駅で事故にあったんですって?」

「はい、階段の一番上から派手に落ちました」

「それでよく無事だったわねぇ……。根っからしぶといのかしら」

下坂課長補佐は笑いをこらえながら、チクチクといやみを言う。

「はい、母が頑丈に産んでくれたおかげで、骨折と打撲とかすり傷程度で済みました」

私が笑って返事をすると、下坂課長補佐は少し引きつった笑顔を見せた。

「頑丈で良かったわねぇ……。同じ事故でも三島課長は重体だって言うのに……」

「えっ?!」

聞き間違いかと思って詳しく尋ねようとすると、下坂課長補佐は腕時計を見て慌て出した。

「あっ、急いで戻らなきゃ!こんなところであなたとのんきにおしゃべりしている暇なんてないのよ。じゃあね、お大事に」

下坂課長補佐はそう言って急ぎ足で正面玄関へ向かい、病院を後にした。

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