社内恋愛狂想曲
エレベーターの前で一人取り残された私は、さっきの下坂課長補佐の言葉にうろたえて一歩も動けない。

潤さんが事故にあって重体ってどういうこと?

そんなこと誰も言っていなかったのに。

重体って……重体って……命に関わるような大怪我をして意識がないとか……?

心臓がすごい速さで脈打って、口の中がカラカラに渇く。

とにかく誰かに聞いて確かめないと。

震える手でポケットからスマホを出して、発信履歴画面を開く。

誰に聞けばいいだろうと思いながら画面を凝視して、とりあえず誰でもいいから聞いてみようと、瀧内くんに電話をかけた。

4度目で発信音が途切れ、「はい」と瀧内くんの声が聞こえた。

「瀧内くん!今、潤さんが事故にあって重体だって聞いたんだけど、ホントなの?!」

焦っていつもよりかなり早口になりながら尋ねると、瀧内くんはほんの少し黙り込んだ。

「落ち着いてください。今どこですか?」

これが落ち着いていられるか!

「病院!正面玄関から入ったところのエレベーター前!」

「わかりました。僕、今ちょうど会社を出たところなので、動かないでそこで待っててください」

そう言って瀧内くんは電話を切った。

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