社内恋愛狂想曲
動かないで待っていろと言われたけれど、逸る気持ちが抑えきれず、エレベーターの前を行ったり来たりしてしまう。

そうしているうちに瀧内くんが急ぎ足でやって来た。

会社から病院への距離を考えると、実際には10分程度だったのかも知れないけれど、瀧内くんが来るまでの時間がやけに長く感じられた。

「瀧内くん!潤さんが重体ってホント?!潤さんはどこにいるの?!」

半泣きになりながら勢い余ってつかみ掛かると、瀧内くんは少し驚いた顔をして、スーツの襟をつかんでいた私の右手を握った。

「落ち着いて、志織さん。今から潤さんのいる病室に案内します。ちゃんと説明しますから」

瀧内くんに手を引かれ、泣きながらエレベーターに乗り込むと、瀧内くんは私の背中を優しくさすった。

「潤さんは先週の月曜日の朝……志織さんが出張に行った日の通勤中に、会社のすぐそばでトラックに跳ねられたんです」

「そんな……」

会社のすぐそばということは、潤さんは私と別れた直後に事故にあったんだ。

あのとき私が断るか、もしくは駅まで送ってもらっていれば、潤さんはきっと事故にあわずに済んだのに。

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