社内恋愛狂想曲
そんなときにまで私を気遣うなんて、やっぱり潤さんはどうしようもないくらい超絶いい人だ。

だけどやっぱり私は、知らせて欲しかったと思う。

お互いの気持ちを伝え合ったことも、ずっと一緒にいようと言って抱きしめ合ったことも、すべてを「なかったことにしよう」と潤さんに言われた私がそんなことを思うのは厚かましいだろうか。

「潤さんは知らせたくなかったかも知れないけど、私は知らせて欲しかったな……」

「志織さんが出張から帰ったら伝えようと思ってたんですけど、二人の間には何もなかったということでしたし、志織さんも駅で事故にあったので、今は余計な心配はかけない方がいいかと。これは僕の判断で、志岐くんと葉月さんと、有田課長にも口止めしていました」

葉月の言っていた“約束”というのは、このことだったのか。

みんながあんなにそっけなかったことにも合点が行く。

瀧内くんはナースステーションに近い個室の前で立ち止まった。

ドアの横には“三島 潤”と名札が入れられている。

「ここです」

「うん……」

もし話もできないような状態だったらどうしようかと一瞬後退りしそうになったけれど、おそるおそる引き戸の取っ手を握り、思いきってドアを開けた。

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