社内恋愛狂想曲
「それで俺に早く身を固めろって見合い話とか持ってくるようになって……俺は会社を継ぐ気も見合いする気もなかったから両方断り続けてたんだけど、うちの親父がかなり強引で、一度食事しようって騙されて見合いさせられたことがある」

お父さんはなかなか首を縦に振らない潤さんにしびれを切らしたのだろう。

なんとなくそのときの光景が目に浮かぶ。

お父さんの顔を立てるために見合いの席はそつなくやり過ごしたものの、潤さんはその見合い話を丁重にお断りしたそうだ。

その後、お父さんが用意した見合い話を断るなら、潤さん自身が選んだ相手を連れて来いと言われて途方にくれ、瀧内くんに“うっかり口を滑らせてしまった”と潤さんは言った。

「あのときはバレーの飲み会で“親が結婚しろってうるさい”ってぼやいたら、モナちゃんが立候補するとか言い出して困ってたのもあるし、ちょっと参ってたんだよな。それで玲司が“偽婚約者作戦で行こう”って言い出して……。俺は一応断ったんだけど、玲司が独断で強行して、志織を親に紹介したっていう……」

なるほど、それで今に至るわけか。

瀧内くんが私を偽婚約者に選んだのは、潤さんがずっと私を好きだったことに気付いていたからなんだと思う。

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