社内恋愛狂想曲
「私も潤さんも、そうするとは一言も言ってないんだけど……」

私がおそるおそるそう言うと、葉月と瀧内くんは同時に潤さんの方を振り返った。

潤さんは二人の勢いに少し戸惑いながらも、うっすらと笑みを浮かべている。

おそらくこの顔は……。

「志織がいいなら、もちろん俺はかまわないけど……。部屋も余ってるし……みんなもその方が手間が省けるだろうし……」

──やっぱり……。

潤さんは“早く一緒に暮らしたい”と前から言っていたし、断るわけがないか。

断るどころか、潤さんはきっと心の中で瀧内くんに向かって「よくやった!」と叫んでいるに違いない。

「潤くんの家に住めば佐野は家賃も要らないし、会社は近くなるし、おまけにずっと潤くんと一緒にいられるんだから、メリットしかないよな。いずれは一緒になるんだし、この際だから同棲しちゃえばいいじゃん」

伊藤くんは当たり前のような顔をしてさらりとそう言ってのけた。

前に潤さんにも同じことを言われたけれど、同僚の伊藤くんにまで言われるとは思わなかった。

「ど……同棲って……」

“同棲”という言葉の響きが無性に恥ずかしい。

< 803 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop