社内恋愛狂想曲
「それで、母がね……ついでに籍も入れたらって言ったんだけど……それはやっぱり、潤さんの怪我が治ってから、潤さんのご両親にきちんとご挨拶して結婚の承諾を得て、両家の顔合わせも済ませてからにしようってことになって……」

「そうだな。でもうちの親父もたぶん、志織のお母さんと同じことを言うと思うよ。俺としては今すぐにでもかまわないけど……一応その辺はちゃんとしとかないとっていう志織の気持ちもわかるし、志織のお父さんにももう一度会って、ちゃんと許可もらわないとな」

実はゆうべ、母に言われたことを伝えたとたんに、潤さんが“よし、今すぐ入籍しよう!”と言い出すのではないかとほんの少し心配していた。

だけどそれは無駄な心配だったようだ。

潤さんは私の気持ちを大事にしてくれて、しかも私と同じことを考えていた。

それだけで潤さんとはこの先うまくやっていけそうな気がする。

「とりあえず、早く怪我治さないとな」

「うん」

私がうなずくと、潤さんは私の肩を抱いて顔を近付ける。

「ところで志織、ただいまのキスがまだなんだけど」

潤さんは私の耳元に口を近付けて小声でそう言った。

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