社内恋愛狂想曲
潤さんの一声で二人は急いでキッチンへ向かい、手を洗い終わるとお茶碗や箸などを食器棚から出したり、冷蔵庫からゆうべのお好み焼きの残りを出してレンジで温めたりし始めた。

これまでは食べる専門で食事の準備が整うまで座って待つだけだった二人が、一体どういう風の吹きまわしなのか。

不思議に思いながら隣を見ると、潤さんは楽しそうに笑いをこらえている。

「潤さん、伊藤くんと瀧内くんにどんな躾をしたの?」

「ん?“働かざる者食うべからず”って言っただけだよ」

なるほど、それは食欲旺盛な彼らにとって一番堪える言葉だ。

いとこの優しいお兄さんから課長モードになった潤さんは、部下の躾には厳しいらしい。

葉月はニヤニヤ笑いながら、小学生のお手伝いのようにたどたどしい動きの伊藤くんと瀧内くんを眺めている。

「さすが三島課長やわ。仕事だけやのうて、子どもの躾も完璧ですね」

「まぁ、あいつらでっかい子どもみたいなもんだからな」

伊藤くんと瀧内くんの奮闘ぶりを嬉しそうに笑って見ている潤さんが、なんだか授業参観に来たお父さんみたいに見えてきた。

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