社内恋愛狂想曲
「いやいやいや……ちょっと待ってくれよ!志織のご両親の都合も聞かずにそんないきなり……!」

「それもそうだな。じゃあ志織さん電話して、今すぐ」

「は、はい……」

有無を言わさぬ圧力に負け、私はポケットから急いでスマホを取り出し、電話帳の画面を開く。

なんだろう、このすさまじい決断力と行動力は?

一人息子である潤さんとの差がすごすぎる。

4万人近くもの従業員をかかえる大企業のトップともなると、こんな風に物事を即決するようになるんだろうか?

実家に電話をかけると、いつものように母が出た。

父の具合はどうか、今日は出かける予定はないか、これから実家へ行っても大丈夫かと端的に尋ねる。

『急にどうしたの?うちに忘れ物でも取りに来るの?』

「潤さんのご両親がこれからご挨拶に行きたいと仰ってるんだけど……お連れしてもいい?」

『そうね、これから……えっ、これから?!』

さすがの母も慌てたようで、珍しく取り乱しているようだ。

『まさか今日とは思ってなかったし、うちに来ていただいてもなんのお構いもできないけど……いいの?』

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