社内恋愛狂想曲
ああ……この顔は喜んでる顔だ……。

「そんなことがあったんですか?」

潤さんが尋ねると、母は大袈裟にうなずいた。

「そうなの。小さい頃は別として、この子が泣くところなんて初めて見たのよ。それだけ潤さんのことが好きなのねぇ……」

母の言葉を聞いて、潤さんは嬉しそうに私の方を見る。

「そんなに心配してくれてたんだ」

「何日も連絡がつかなかったら、誰だって心配するでしょ……?」

歯切れの悪い口調で答えると、母が首をかしげた。

「何日も?前の晩から丸一日じゃなかった?」

「お母さん……!恥ずかしいから、もう何も言わないで……!」

これ以上恥ずかしい話を暴露されたらたまらない。

おしゃべりな母を放っておくと、私の子どもの頃のドジ話まで持ち出しそうだ。

ここはもう、強引に話の流れを変えて忘れてもらうしかない。

「潤さん、明後日入籍しよう」

「えっ、明後日?!」

「うん、早く子ども欲しいから!」

勢いに任せて思わず口走ると、今度は潤さんが顔を真っ赤にした。

父も大人になった娘の発言にかなり驚いたようで、完全に固まっている。

笑って喜んでいるのは母と潤さんのお父さんだけだ。

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