社内恋愛狂想曲
「言ったのね?」

語気を強めてそう言うと観念したのか、潤さんはゆっくりとうなずいた。

「はい……言いました……」

「いつ、誰に?」

「志織に婚約者になってくれって言うより少し前……営業部の男ばっかりの飲み会で……」

「そこんとこ詳しく」

よく話を聞いてみると、男ばかりの飲み会の席で、ある部下が“今年のクリスマスは彼女にミニスカートのサンタコスをして欲しい”と言い出したと潤さんは言った。

そこから“彼女にして欲しいコスプレは何か?”という話になり、お酒が入って調子に乗った部下たちが、ナースだとかメイドだとか裸エプロンだとか、よくある“男のロマン”を語りだしたらしい。

潤さんはそれを黙って聞いていたそうだけど、部下のひとりが潤さんにも意見を求めてきたそうだ。

数日前にゆう子さんへの誕生日プレゼントを買いに行くという瀧内くんの付き合いでブランドショップを訪れたときに、まだ汗ばむ陽気の日もあるのに少し気の早い冬物が展示されていて、そこで見かけたニットのワンピースを思い出したと潤さんは言った。

「“コスプレにはあんまり興味はないけど、着て欲しいのはニットのワンピースかな”って言ったんだよ。“もし好きな子がデートのときに着て来てくれたらめちゃくちゃテンション上がると思う”って。そうしたら……」

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