クールな次期社長と愛されオフィス
秘書達からは喜びのざわめきがそこかしこから沸き上がっていた。
久しぶりに見る湊の姿は神々しく社長の名にふさわしい輝きを放っている。
誰かを眩しいと思ったのは初めてだった。
「これからは、宇都宮商事の名に恥じないよう、更に会社を盛り上げていこうと思っております。そのためにはここにいる皆さん、全社員の力が必要です。どうか私と一緒に戦ってもらいたい」
湊がそう堂々と話した後、誰彼ともなく拍手がわき起こった。
皆が待ち望んでいた社長の登場に、全員が一つになった瞬間だった。
私は誰にも気付かれないよう、そっと頬に伝う涙をふいた。
「私がここに在任中部長を務めていた海外新規事業開発部に関しては、これまで通り社長直轄の部門とし、信頼できる部下達に引き継ぎ人員を増やし、更にトップ事業として掲げていきたい。人事については本日中に本人に内示し、来週に全社員に公示とします」
湊の夢は、ちゃんと次に繋げたんだね。
絶対あきらめないっていう湊の気持ちは本当だった。
すぐにでも、湊のそばに駆け寄って話をしたい。
だけど、社長にまで上り詰めた彼はもう私の手の届かないところに行ってしまったような気がしていた。
新社長の話が終わり、皆がまた席に戻り始める。
私も震える体を抱えながら、自分の席に戻った。
「それにしてもびっくりだったわね」
私の横にすり寄ってきたマリカ先輩が興奮冷めやらぬ表情で私に声をかけてきた。
私は黙ったまま頷く。まだ夢みたいで言葉にならなかったから。
「新社長が一ヶ月半前急に会社を辞めたのも、社長が海外新規事業部を部長から無理矢理引きはがそうとしていたからっていう噂が出ていたけど、ほんとにそうだったのかもしれないわね。また新事業を引っ提げて戻ってくるなんて。めちゃくちゃかっこよくて体中に電気が走ったわ」
マリカ先輩の言葉も、回りの興奮した表情も今の私には何も入ってこないくらい感動で震えていた。
例えどんな結果であろうと、湊は約束通り自分の夢と一緒に戻って来てくれたから。
何よりもそれで私には十分だった。
「堂島さん!」
向こうから秘書室長が私の名前を呼んだ。
「は、はい!」
慌てて立ち上がる。
久しぶりに見る湊の姿は神々しく社長の名にふさわしい輝きを放っている。
誰かを眩しいと思ったのは初めてだった。
「これからは、宇都宮商事の名に恥じないよう、更に会社を盛り上げていこうと思っております。そのためにはここにいる皆さん、全社員の力が必要です。どうか私と一緒に戦ってもらいたい」
湊がそう堂々と話した後、誰彼ともなく拍手がわき起こった。
皆が待ち望んでいた社長の登場に、全員が一つになった瞬間だった。
私は誰にも気付かれないよう、そっと頬に伝う涙をふいた。
「私がここに在任中部長を務めていた海外新規事業開発部に関しては、これまで通り社長直轄の部門とし、信頼できる部下達に引き継ぎ人員を増やし、更にトップ事業として掲げていきたい。人事については本日中に本人に内示し、来週に全社員に公示とします」
湊の夢は、ちゃんと次に繋げたんだね。
絶対あきらめないっていう湊の気持ちは本当だった。
すぐにでも、湊のそばに駆け寄って話をしたい。
だけど、社長にまで上り詰めた彼はもう私の手の届かないところに行ってしまったような気がしていた。
新社長の話が終わり、皆がまた席に戻り始める。
私も震える体を抱えながら、自分の席に戻った。
「それにしてもびっくりだったわね」
私の横にすり寄ってきたマリカ先輩が興奮冷めやらぬ表情で私に声をかけてきた。
私は黙ったまま頷く。まだ夢みたいで言葉にならなかったから。
「新社長が一ヶ月半前急に会社を辞めたのも、社長が海外新規事業部を部長から無理矢理引きはがそうとしていたからっていう噂が出ていたけど、ほんとにそうだったのかもしれないわね。また新事業を引っ提げて戻ってくるなんて。めちゃくちゃかっこよくて体中に電気が走ったわ」
マリカ先輩の言葉も、回りの興奮した表情も今の私には何も入ってこないくらい感動で震えていた。
例えどんな結果であろうと、湊は約束通り自分の夢と一緒に戻って来てくれたから。
何よりもそれで私には十分だった。
「堂島さん!」
向こうから秘書室長が私の名前を呼んだ。
「は、はい!」
慌てて立ち上がる。