クールな次期社長と愛されオフィス
その翌週、部署メンバーと一生懸命パッケージしたブレンドティセットを携えて私と湊は宇都宮家の自家用ジェット機でニューヨークへ飛び立った。

私にとっては初めての海外。

長時間飛行機に乗ることももちろん初めてで、前日は緊張でなかなか寝られなかった。

しかも宇都宮家専用ジェット機だなんて。

離陸してからも、かちんこちんなだった私の手を湊は何も言わずずっと握っていてくれた。

温かい湊の手を感じながら、すっかり安心していつの間にか寝てしまう。

目が覚めた時は、もうニューヨークだった。

空港に来ていたこれまた宇都宮家専用リムジンに乗り込み、早速店舗に向かう。

マンハッタンは、思っていた以上に大きくて圧倒される景色。

この街にどれだけの人が集まり、何を思い、何を話し、何を生み出すんだろう。

日本とはその全てのサイズ感が違うような気がした。

こんな世界が地球上にあっただなんて。

私はなんてちっぽけな世界でちっぽけなことを考えて生活していたんだろ。

リムジンの中で、ゆったりと足を組み座っている湊の横顔を見つめながら、彼の大きさは世界の大きさに負けてないと思っていた。

その横顔はとても愛おしくて、私の拠り所になっている。

この人とならどこにいても、何があっても大丈夫。

湊が私に視線を向けた。

「ん?」

私は笑顔で首を横に振った。

「なんでもないです」

「変な奴だな。もうそろそろつくぞ」

湊はそう言うと私の手を掴み、微笑んだ。
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