クールな次期社長と愛されオフィス
社長は私の肩を押しのけ、無理矢理会議室に入ってきた。

そして、ソファーにどかっと腰を下ろす。

「部長はどうした?」

ソファーにふんぞり返ったまま私に尋ねた。

「あの、先ほど電話があり、新事業に関わる業者がトラブルに見舞われたそうで緊急の調整に向かわれました」

社長の目が恐くて、うつむいたまま答えた。

こんな説明で社長は理解してくれたんだろうか。

普段お世話になってる部長のために自分ができる限りのフォローをしなくちゃならない。

「急なことでご連絡遅くなりましたこと本当に申し訳ありません!戻り次第またご連絡させて頂きますので」

「いや、もうその必要はない」

「え」

「わざわざ俺が忙しい中時間を作ってやったのに、こっちはそっちのけで業者の方優先するとはな」

そう言うと嫌味っぽくため息をついた社長はソファーから立ち上がり、扉の方へ向かった。

そして振り向き様に言い放つ。

「部長に言っておけ。お前の新事業はお前のものではない、社長の決済がなけりゃ通らないものなんだとな」

扉がバタン!と大きな音を立てて締められた。

思わず首をすくめて目をつむる。

心臓がバクバクしていた。

どうしよう。

社長の怒りを買ってしまった。私も全然フォローしきれなかったし。

思わずその場にへなへなと座り込んだ。


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