クールな次期社長と愛されオフィス
「お待たせ致しました」

色の白い、かわいらしい店員さんが私の前に皿を置いた。

白くてシンプルな皿の上には三種類のオープンサンドがのっている。

旬の野菜の上に、ローストビーフや生ハムが重ねられ、華やかさの中に優しさのある色合い。

一口かじると、かりかりに焼かれた薄めのトーストと新鮮な瑞々しい野菜と肉が口の中で合わさってバランスのいい味になる。

「おいしい」

一人で食べていることも忘れて思わず口にしてしまった。

カウンターの中で珈琲を淹れていた40代くらいの女性と目が合った。

彼女はそんな私を見てくすっと笑う。

恥ずかしくなったけれど私も頭を下げて笑った。

「そんなにおいしかったかしら?」

彼女は、後ろに髪を束ねてお化粧っ気はないけれどとても美しい人だった。

私は慌てて口の中のものを飲み込み答えた。

「はい、おいしいっていう言葉以上においしいです。それに、このお店の何もかもが素敵で素晴らしくて、感動しています」

彼女は穏やかに微笑みながら頷いた。

「それはとても嬉しいわ。あなたはこのお店は初めてかしら?」

「はい、初めてです」

「地元の方ではなさそうだけど、どちらから?」

そう言いながら、オープンサンドについている紅茶を私のテーブルに置いた。

「東京から来ました」

「まぁそんな遠くから」

「私の上司がこのカフェが小樽で有名だって教えてくれて」

私は置かれた紅茶を一口飲む。

紅茶もおいしい。特に凝った味ではないけれど、オーガニック独特の後味の良さがある。

「それはとても素敵な上司ね。このお店を紹介して下さるなんて光栄だわ、とても」

私は頷きながら、部長の姿を思い出して胸の奥がくすぐったくなった。
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