秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
─反らしたのは私だった。
小さくお辞儀をして、下手な笑顔をつくってからパッと傘を取って差して、
今度は私が海斗さんの腕を、早く、とせがむように軽く引いた。
海斗さんが少し意外そうな顔になった。
そこから少し歩いてから、また海斗さんの車にのせてもらった。
窓ガラスを打つ雨がだんだんと弱くなる。
海斗さんがエンジンをつけてからすぐに暖房を入れてくれた。
「まだ冷えます?」
「あ‥‥大丈夫です」
そう言うと、海斗さんが暖房の温度を上げようとしていた手を止めた。
「す、すごい偶然でしたよね、さっき‥!」
さっきの光景に触れない訳にもいかず、
不自然に明るいような声で切り出す。
「そうですね。九条さん、すごい泣きそうな顔してましたけど」
「‥‥‥‥!?」
な、泣きそうな顔って‥!
「そんな顔‥‥」