秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

─反らしたのは私だった。

小さくお辞儀をして、下手な笑顔をつくってからパッと傘を取って差して、
今度は私が海斗さんの腕を、早く、とせがむように軽く引いた。

海斗さんが少し意外そうな顔になった。

そこから少し歩いてから、また海斗さんの車にのせてもらった。

窓ガラスを打つ雨がだんだんと弱くなる。
海斗さんがエンジンをつけてからすぐに暖房を入れてくれた。

「まだ冷えます?」

「あ‥‥大丈夫です」

そう言うと、海斗さんが暖房の温度を上げようとしていた手を止めた。

「す、すごい偶然でしたよね、さっき‥!」

さっきの光景に触れない訳にもいかず、
不自然に明るいような声で切り出す。

「そうですね。九条さん、すごい泣きそうな顔してましたけど」

「‥‥‥‥!?」


な、泣きそうな顔って‥!

「そんな顔‥‥」
< 156 / 276 >

この作品をシェア

pagetop