秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


会社とは少し離れたところにあって、
距離的には、車で30分位。


「若菜、着いたぞ」

「う‥‥ん」


柊ちゃんに揺さぶられてからぼんやりしていた意識を取り戻した――というか、目を覚ました。

どうしよう、自分でわがまま言って連れてきてもらったのに寝ちゃってた‥!

「おーい、大丈夫か?」

そういって柊ちゃんが私の顔を覗き込む。
その距離の近さに心臓が跳ねて一瞬で目が覚めた。

今までだったら、意識もしてこなかったような柊ちゃんの仕草の一つ一つに、どうしてこんなに反応してしまうんだろう‥。

「お、お、起きた。起きました」

「はい、おはよう」

そういって柊ちゃんに頭をクシャっとされ、
自然に差し出された腕に引かれて車から出る。

暖房の効いていた車内との気温の差に堪えて体が震えた。
柊ちゃんも同様だ。

逃げるようにしてプラネタリウムの中に入ると、
入ってすぐの所の、受付とかかれた窓口にいたおじさんに優しく微笑えまれた。

「こんばんは。こんな遅くにお客様だなんて珍しいな」

「こんばんは。大人二人なんですけど‥」

そう言って柊ちゃんが財布を取り出そうとすると、おじさんがそれを制するように笑った。

「いいよいいよ。こんな遅くに珍しい、なんて言ったけど最近はもっぱらお客さんが来てくれる事自体が珍しくて嬉しくなったよ。お代はいいから、恋人と楽しんでおいで」

客足が良くないのならなおさらお代がいるのでは。
なんてことよりも、何気なく発された恋人という単語に思わず同様してドキっとする。

< 186 / 276 >

この作品をシェア

pagetop