ONE LOVE
ポカポカとした陽気。

今日は行楽日和らしく、家族で出かける家が多いのか、住宅街には車が無い家が多かった。


家族…か。


俺は今から出発する家族を見つめながら思った。


父親と母親を引っ張る子供。

その子の笑顔は幸せそうで、ガキの頃の俺とは大違いだ。


確か…ガキの頃もこうやって他人の家族を羨んでたっけな…


俺はそんな苦い思い出を掻き消すようにバイクに鍵を差し込み勢いよく出発した。


スピードを上げていくと気分がだんだんと晴れていく。


コンビニに着くと、偶然にも顔見知りに遭遇した。

「おお。ハルマ」

バイクを停めていた俺は急に声をかけられて驚きながらも振り返る。
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