+小悪魔恋愛2+
それでも結局柚がバイトを終える時間まで、店に居続けてしまったオレたち。
裏口を通って帰れば、もしかしたら柚とバッタリ会えるかもしれない。
そんな片想いのような感覚に、ちょっとはワクワクもしたりしたけど
実際顔を合わせたら、なんて言えばいいんだろうって弱気な心が押し寄せて。
「陸、もしかして飲み会まで追いかける気?」
「それは…」
いつもなら柚から迎えに来ての電話も入るけど、多分連絡なんてもらえない。
だからってオレが迎えに行かなかったら、その場にいた他の男が乗せて帰っちゃうかもしれないし。
それは危険だ。
「あー…、別にそんなつもりは無いんだけど、でも帰りにタクシーとかつかまらないと可哀想な気もするし、恵美ちゃんがまた飲み過ぎておかしくなってないとも限らないし。柚だってどんだけ飲むか、あぁ、それよりその飲み会にどんな危ない奴がいるか…」
「陸っ!言い訳長げぇよ!気になるんだったら堂々と行けばいいだろ」
「うっ…う〜ん……」
正直柚に無視されたらどうしようと、それに耐える自信がなんとなくなかった。
オレの精神は、どれだけ柚に対して弱くなってるんだろう。
「陸、お前まじで特別賞受賞者?顔だけじゃどうにもなんないんだからな」
「そんなの…関係ないよ」
なんだか考え込んでばかりいたせいで、吐き気がするように胸が苦しい。
あれからたった三日しか経っていないのに、オレの中は先が見えないくらい空っぽで。
すごく柚と話したくて、すごく柚に触れたくて。
体のいろんな部分が壊れたように、かなりやばい状態になってた。
柚……
私ね、そういう陸が大好きなの。
困った顔とか、悩んだ顔とかされたら、もう可愛くてきゅん!ってなっちゃう!
こんな情けないオレにでも
柚は惹かれるわけ?
オレと純平が駐車場の車に戻ろうと歩き出すと、後ろにあった裏口の扉が開いた。