+小悪魔恋愛2+
柚のことを言ってられないくらい、いろんな計算で行動しようとしてみたけど
いざとなるとそんなことを考える余裕もなくて。
どう見たっていつもと同じ、素のままのオレになっちゃってて。
「柚…あの、あのさ……」
でも柚は、柚からは
そんなオレの動揺がふっ飛ぶくらいの反応が返って来たんだ。
「陸、久しぶり」
「え!あ、うん……」
ドキドキ、ドキドキ
にっこり笑う笑顔は、さっきまで店の中で見てたものと同じ。
当然怒られるか、無視されるか、もしかすれば別れられるんじゃないかとか
そんなことばかり考えてたオレは言葉が出せなかった。
それっていつものだよな。
そうやってオレの気を引こうとしてくれてるんだよな。
どこかで甘い考えを呼び起こしてしまう自分の感情が邪魔だった。
「あ、柚…」
「それじゃ、またね」
えっ……!?
柚…
ドクン、ドクン……
でかい心臓の音と一緒に、全身の力がサーッと上から下へと降りて行く。
……何?
よくわからない。
手を振って歩いて行く柚の姿が、気が付いたらなんだか見えにくくなって…
歪んで……?
やばっ、オレ泣きそ……
「待って柚っ!」
こんなもので誤魔化せるのか、慌てて目をこすってメガネをかけてみたけど
走って近づいた先にいる柚の顔を間近で見下ろしたら、我慢が……
「あ、来た来た」