君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
料理上手な人なら、きっとこんなに時間もかからないだろう。
ふたつの調理を同時進行なんて、私には無理だとわかった。

だって、卵焼き焦がしたし。


それから三十分。
コーヒーを飲んでいると、悠馬さんが「うーん」と伸びをしながら起きてきた。


「ホントにいてくれた」
「約束は破りません」


うれしそうに頬を緩める彼は、キッチンに行き鍋のふたを開けて覗き込んでいる。


「うまそう」
「あっ、見た目だけかもしれないので、ハードル上げないでください」


慌てて言うと、彼はクスッと笑う。


「醤油の香りっていいよね。やっぱり日本は最高だ」


そんなに喜んでくれるなら、作った甲斐もあったかな。
それから温めなおしてテーブルに並べてハッとした。


「あー、彩が……。ごめんなさい」


煮魚と筑前煮。そして卵焼き。
なにか緑の物も添えるべきだった。

こういうところが気がつかない。
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