君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「いいって。いただいていい?」
「はい」


彼がまず筑前煮をひと口。
味見をしたところ、一応そこそこの出来だとは思うんだけど、緊張する。


「これこれ。はー、泣きそう」
「まずくて?」
「わけないだろ。こんなにうまいのに。日本に帰還できたっていう喜び」


どうやら満足してもらえたようだ。

しかし『帰還』だなんて、私が想像している以上に過酷な赴任だったのかもしれない。

それでもやり遂げて帰ってきた彼がまぶしくてたまらない。


それからは夢中になって食べてくれた。
自信がなかった料理だけど、こうして食べてもらえるのが幸せだ。


「この甘い卵焼きも俺好みだよ。料理が苦手って嘘じゃないか」


すべて食べつくしてくれた彼がつぶやく。


「苦手ですよ。和食のレパートリー、出尽くしました」


私が正直に言うと、彼は白い歯を見せる。


「これだけできれば上等。俺も飯しか炊けないもんなぁ。一緒に暮らし始めたら、少しずつ練習するか」
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