君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「はい。特に大きな進展もないですが……。あっ、町田さんが新しいクライアントを発掘したと——」


そこで唇を指で押さえられ、遮られてしまった。


「仕事の話は月曜に聞く。そうじゃなくて、葉月の話」
「私? 私は特に……。でも、肉じゃが作ったんですよ! これが大成功で。今度ふるまっちゃいますね」


少しずつレパートリーを増やしていこうと、時間があれば一品ずつチャレンジしている。


何品も同時進行ができない不器用な私は、鍋に付きっきりなので、テーブルにたくさんの料理が並ぶのはまだほど遠い。


「肉じゃがなんてハードルが高そうだ。ますます差をつけられた」


仕事では背中すら見えないくらい私より前を歩いているくせして。


「で、他には?」
「他……」


あとはなにがあっただろう。
考えを巡らせていると、彼が私の腰を強めに抱いてくる。


「俺がいなくて寂しくなかったか?」
「あっ……」


そういうことを聞いているのか。
肉じゃがの話を聞きたかったわけじゃないんだ。
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