君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
私は会社で数回、お父さまの姿を見かけたことがある。
が、もちろんお父さまは私のことなんて知らない。


「座りなさい」


お父さまの切れ長の目は、眼光鋭く私を捉える。

けれども、ひるむわけにはいかない。
悠馬さんと一緒に歩いていきたい。

ソファに座り足をそろえると、悠馬さんが話し始めた。


「彼女はライフテクノロジー事業部に勤めています。優秀な営業です」
「事務ではなく営業なのか」


お父さまは腕を組んだまま聞いてくる。


「そうです。今やライフテクノロジー事業部にいなくてはならないほどの存在です」


悠馬さんが持ち上げてくれるのを、うつむき加減で聞いていた。


「それで、有川(ありかわ)のお嬢さんより、この人が勝っているところは?」


『有川のお嬢さん』というのは、先日見合いをした相手のことだ。

実に挑発的な聞き方で、見合いを断ったことを腹に据えかねているんだと感じる。
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