君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「辞めるだと?」
「はい。彼女より大切なものなどないですから。仕事の代わりはいくらでもありますしね」


まさかこんなことを言いだすとは思ってもいなかった。


だけど、悠馬さんがあとを継がないなんてよろしくはない策だ。

だって、揚げ足取りばかりしてろくに努力もしない常務に社長のイスを渡さないという強い決意を胸に、今まで奮闘してきたはずだからだ。

ようやく、それが実ろうとしているのに。


「あの……。和服を纏ってお茶をたて、お客さまをもてなすことができれば、認めていただけますか?」


私は耐えきれなくなり口を挟んだ。

お父さまの出した条件がひとつの例であるのはわかっている。
だから、それができたところで嫁として認めたくないということも。

しかし、なにもできない私には、ひとつずつハードルを越えていくしかない。


「葉月?」


悠馬さんは心配そうに私の顔を覗き込む。
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