君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
へっぴり腰の私に気づいた彼は盛大に笑っている。
けれどもつかつかと歩み寄ってきて軽々と私を抱き上げた。


「なにしてるんです?」
「歩けないんだろ?」
「皆、見てますから!」


駅前の大通りは、二十時半とはいえまだまだ人通りが多い。


「見られたっていいじゃないか」
「恥ずかしいでしょ?」
「いや。全然」


彼はニッと笑って長い足を先に進め、近くのコインパーキングに停めてあった車へと連れていってくれた。


「今日も頑張ったんだな」
「たくさん叱られましたけど」
「あの先生、なかなか厳しいね」


何度か悠馬さんも覗きに来てくれたことがあるので知っている。


「今日は頑張る葉月にプレゼントがあるんだ」
「プレゼント?」
「そう」


彼はチラリと後部座席に視線を送る。


「えっ! もしかして着物ですか?」
「うん。実は三月の下旬に、ドバイから石油の取引がある企業のトップが来日するんだ。親父がそのときに葉月にお茶をたててほしいと言いだして」


ドバイのお客さまか……。
< 299 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop