君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
約束の時間よりまだ二十分ほど早かったので、境内を散歩することにした。

数本あるソメイヨシノのつぼみがほころび始めていて、愛らしい。
もう少し来日が遅ければ、満開の桜を見せてあげることができたのにと残念に思う。

しかし、開花は気候に左右されるので、日程を合わせるのは難しそうだ。


気持ちを落ち着かせるために『どうかうまくいきますように』と心の中で祈りながら、桜の木の下で空を見上げて深呼吸する。

やれるだけのことはやった。
あんなに私を叱っていたお茶の先生も、『ここまでよく頑張ったわね』と最後には褒めてくれた。

入念に準備をした仕事は、自信を持って進められる。
故に成功に結び付く確率が高い。
きっと、それと一緒だ。

全力を傾けた自分を信じよう。
そんなことを考えていると、砂利を踏みしめるような足音がして振り向いた。


「あっ……」


もうお客さまが来てしまったようだ。
慌てて茶室に戻ろうとすると、「葉月」と悠馬さんに呼ばれ、足を止める。
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