天才策士は一途な愛に跪く。
「わぁ・・。可愛い!!似合ってるよ!!そのドレス素敵ね。」
気づいたら、入室していた遥が目を輝かせて喜んでいた。
「えっ・・。ええっ。私が?
わたしが結婚式をするの・・!?
今日って、美桜ちゃんの結婚式じゃないの??」
その言葉に、首を傾げて笑った。
「うん・・。まあ、上手くいったら一緒にあげちゃえばって・・。
美桜さんが最初っから考えていたみたいで・・。」
「嘘!?最初っからって!?もう・・。
流石だわ・・、美桜ちゃんも、天才策士の妹だね。」
「・・それに、叔父さんの体調も気遣ってみたい。
早めに式をあげることにしたみたいだよ。」
アオイの声が響いて、私は驚いて顔を上げた。
ドアの影から、タキシード姿のアオイが私を目を細めて見下ろしていた。
「昨日聞いてたんだ・・。悔しいけど・・。僕にはあんな演奏は出来ない。」
そう言って、いつもの爽やかな笑顔で笑った。
「ありがとう・・。
色々と、アオイくんには守ってもらったり、泣きついてばっかりだったしね。」
「晶が幸せになってくれるなら、僕も異存はないよ・・。悔しいけどね。」
「お前は、研究者が向いているし・・。夢だったピアニストの夢も遠くないだろう。」
執事に車椅子を押されて入出してきた父も、満足気に私を見上げていた。
「叔父さん・・。」
「もう、マックスブラントを背負わなくてもいい。お前の家だけでも重いんだからな・・。
自由になりなさい、アオイ。」
私は、その光景が嬉しかった。
気が付くと聖人と、父も信頼関係で結ばれていた・・。
そんな大きな父を、心から尊敬していた。
「わぁ・・!!晶ちゃん、可愛いわ!!そのドレス似合うと思っていたの。」
「美桜ちゃんこそ!!お姫様みたい・・。とても綺麗だよ。」
チャペルの大きな扉の前に揃った花嫁たちは、
互いのドレス姿に目を細めて喜んだ。
美桜はパールであしらわれた
プリンセスラインのドレスを身に着けていた。
ゴールドの刺繍が入ったそのドレスは、ふわっと広がりエアリーな軽さと
シンデレラのドレスのようなシャンパンの輝きを放っていた。
長くてストレートの髪は毛先がカールされていて、
色素の薄い髪と瞳に美しくベールが映えている。
父の横に並んだ執事2人が、大きな箱をそっと開けた。
中からは、ダイアモンドが並べられた美しい輝きのティアラが現れた。
「綺麗・・。こんなのつけてもいいんですか??」
美桜は目を瞬かせて、輝くティアラを見つめていた。
「我が家に代々伝わる、
プリンセスたちが付けてきたティアラです。
どうぞ、これを使ってください。」
嬉しそうな父が頷くと、そっと頭上にティアラが載せられた。