天才策士は一途な愛に跪く。

大学院に残って講師をしている怜は、
いかにも専門職風のこだわりが人一番強い。

「でも、怜じゃないけど。見渡しちゃうよ!
見たことないもん、こんなお洒落すぎる鉄板とか・・!!」

私も瞳をキラキラさせて、蓋のついた大きなグリル鉄板を端から端まで見ていた。

外国製の真っ赤なグリルが二台と、広々としたテーブルに椅子が10客。

南国のヤシの木が所々設置してあるオープンスペースで、遥か先には海を見渡すことが出来る。

「えーと、俺と怜はビールで、、ビール2つと、シャンパン2つお願いします。」

私たちのテーブル担当者が、メニューの説明を丁寧にしてくれて瑠維が個々のオーダーを伝えてくれていた。

もう一人のスタッフは、鉄板に火をつける作業を行っていた。

私は、遠くに広がるサンセットの海を見ながら鉄板の傍で眺めのピンクや青の散った小花柄の
マキシドレスと、左横に長い髪をシュシュで纏めて眺めていた。

・・ボッ。

グリルの下の火は少し強めの風に煽られるように高い火柱が立ち上る。

私は数十センチ先からの熱い熱風に驚いて、そちらへと視線を落とした。
立ち上る炎が赤くメラメラと燃えていた。

その瞬間、目の前で何かが再生した。

大きく燃え上がる炎が、風に煽られ空高く大きな建物を覆っていく光景が眼前に広がった。
あっという間に高い建物全部が火に包まれて燃えていく様子を私は見ていた。

心臓が大きく跳ねて、体中から冷たい汗が噴き出してくる。

「なに・・。えっ?なん・・・。」

ガクッと足に力が入らなくなり、その場へへたり込むように屈む。

「どうしたの!?ちょっと、大丈夫??」

遥が私の傍へと駆け寄り、私を支えて椅子へと座らせる。
怜が急いでコップに水を注ぎ、私の手元へと持ってきた。

今のは何・・?

足がガクガク震え、顔色も青ざめていた。

瑠維は自分のパーカーを脱いで私に着せて、声をかけた。

「どうした??疲れてるんじゃないのか・・。食事は後で届けさせるから部屋で休んでる?」

私は、喉が張り付いたように動かせずに出ない声に憤ると首を横に振った。

今は一人になりたくない。
でも、火元へは近寄りたくなかった。

青ざめた唇はその言葉すら伝えることが出来なかった。

瑠維は、優しい声で私に諭すように話した。

「焼いた肉とかは俺が持ってくるから、晶はここで遥とゆっくりしてろよ。」

私は、瑠維を見上げて黒目が大きな綺麗な瞳と目があうとコクリと頷いた。

横の席には、ショートパンツにパイル地のパーカーを身にまとった身軽な服装の
遥がドカッと椅子に腰かけた。
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