天才策士は一途な愛に跪く。
「はーい!!じゃんじゃん、肉持ってきてー。
生焼けで持ってきたらサンダルで蹴とばすから。」
「おう。焼き係は肉奉行に任せろ!!ほら、怜。焼けた肉はこれに乗せろよ。」
大きなトレーに乗せられた肉を怜は几帳面に並べてると、瑠維がその上に次々と肉の乗せて
焼きだして軽く喧嘩を始めていた。
さっきまでの呼吸の重さは少しづつ収まってきた。
小さな喧嘩を繰り広げている2人の様子に笑顔を取り戻していった。
さっきの映像は何だったんだろう・・・。
一瞬見えたあの炎は、あの建物は。
あの中に居た人はどうなったの?
それを考えると頭の中が酷く痛んだ。
ズキズキと奥のほうから響く痛みに、私は考えるのを辞めて空を見上げた。
サンセットの海は赤い空が何層にも重なり美しい赤のグラデーションが広がっていた。
手元にあった水を飲み干して喧嘩の仲裁に駆り出された遥が逆に瑠維と喧嘩を始めた
様子を見て、クスっと笑った。
「適当に焼くな!!豚の生は最悪よ、瑠維っ。」
「腹減ってるんだって。そこそこ焼けりゃいいだろ!!」
「火力が強い部分に肉を並べていく方が効率がいいんだって。」
怜と遥VS瑠維の構造に変容したやり取りを眺めながら私は優しいみんなに心から感謝した。
「はははは・・。あはははっ。何してんのよもう。」
私の笑い声を聞いた三人は、こちらを見て互いの愚痴を訴えてくる。
「瑠維が雑で・・。」「怜のやり方がまどろっこしいんだって!!」
「グリルは二台あるから、一つは瑠維が使えばいいんじゃない?
もう1つを怜と遥で効率よく使って焼けばいいんじゃないかな。」
私の言葉に納得したように、瑠維がもう一台のグリルを占領して焼きだした。
怜と遥は、楽しそうに野菜を傷めたり、串焼きを丁寧に並べる。
私は、いつの間にか落ち着きを取り戻して運ばれてきたお肉を美味しそうに頬張った。
明らかにレアな肉を食べそうになった遥は、本気で瑠維をサンダルで蹴り上げた。
「生肉当たって死んだらどうするのよ?ったく・・雑すぎるんだから。」
ブツブツ文句を言う遥に、怜がうんうんと相槌を打つ。
「超合金で出来たような丈夫な身体なんだから大丈夫だろ。」
べーっと舌を出した瑠維に、また遥が噛みついていく。
「私はいいけど、晶に何かあったら山科聖人が激怒するわよ?期待の引き抜き人事
で山科メディカルの新部門の責任者として赴任するんですもの。」
「何だ、それ・・・俺、聞いてないけど。」
得意気に話をふった遥の言葉に、瑠維は驚いて私を見た。