時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>
「アメリ様、ただいま戻りました……!」


すると、間近で息せき切った声がした。


いつの間にか、ブランが二人の目の前にいる。






「ブラン、大丈夫だった?」


「こそこそ嗅ぎまわるのは、得意ですから」


ブランは、アメリに向けてにっこりと無邪気に笑って見せる。


「それで……、弱みとやらは握れたのか?」


「弱みというか、ケプラーの妙な癖(へき)はわかったかな」


カールの問いに、ブランは顎先に手を当てがいながら渋い顔をする。






「癖(へき)……?」


アメリが戸惑いの声を出せば、ブランは頷いた。


「ケプラーの部屋を覗いたんです。奴の部屋はひどく暗くて、ほとんど何も置かれていない。そんな中であいつは、じっと水晶玉を見つめているんです。その水晶玉がまた、殺風景な部屋に異常なくらいたくさんあって。気持ち悪いでしょ?」


「………」


アメリとカールの、沈黙が重なった。


やがてカールが、おそるおそるブランに問う。


「収穫は、それだけか? ……ていうか弱みでもなんでもないじゃないか。占術師なんだから、水晶玉を見るくらい普通だろ」


「そうか? 俺だったら、暗闇でじっと水晶玉を見つめるネクラな趣味なんて、誰にも知られたくないけどな」



< 27 / 47 >

この作品をシェア

pagetop