時を繋ぐ真実の物語<「私の獣」番外編>
アメリは、やや間を置いて問いかけた。
「未来を見る能力が彼を不幸にしたとは……、どういうことですか?」
ダニエルは少し考え込むような素振りを見せる。出会ったばかりのアメリに、詳しく話すのを戸惑っているように見えた。だがアメリの真剣な眼差しに圧されたのか、やがてぽつぽつと語り出す。
「奇妙だとは思いませんでしたか? この家には、当主であるロナルド・ケプラーがいない」
「どこかに、出かけているわけではないのですか?」
カールの声に、ダニエルは緩く首を振った。
「ロイの父親であるロナルドはロイの才能に嫉妬し、ケプラー家とロイを捨てたのです。だからロイは十二歳の時から、一人で占い家業を営んでいるのです」
ダニエルの言葉に、アメリは固まった。
「占い師としての彼の実力は、本物です。ロイのおかげで、ケプラー家の占星術は息絶えることなく、今なお国一番の占いとして人々に信頼されている。だが、父親の失踪を機に、人懐っこかったロイの性格は変わってしまった」
(かわいそうな人……)
アメリは、塀の向こうにそびえるケプラー邸を見やった。
”愛”を否定したケプラーの冷えた瞳が、脳裏をかすめる。
父親の愛情を失ったケプラーは、自らも愛を信じることをやめ、一人孤独に戦い続けていたのだ。
父親を追い詰めた自分の類いまれなる才能を、彼は憎んでいるのだろうか。かつてのカイルが、災いの申し子として生まれた自らを憎んでいたように。
切ない気持ちで、アメリはやり切れなくなる。
「未来を見る能力が彼を不幸にしたとは……、どういうことですか?」
ダニエルは少し考え込むような素振りを見せる。出会ったばかりのアメリに、詳しく話すのを戸惑っているように見えた。だがアメリの真剣な眼差しに圧されたのか、やがてぽつぽつと語り出す。
「奇妙だとは思いませんでしたか? この家には、当主であるロナルド・ケプラーがいない」
「どこかに、出かけているわけではないのですか?」
カールの声に、ダニエルは緩く首を振った。
「ロイの父親であるロナルドはロイの才能に嫉妬し、ケプラー家とロイを捨てたのです。だからロイは十二歳の時から、一人で占い家業を営んでいるのです」
ダニエルの言葉に、アメリは固まった。
「占い師としての彼の実力は、本物です。ロイのおかげで、ケプラー家の占星術は息絶えることなく、今なお国一番の占いとして人々に信頼されている。だが、父親の失踪を機に、人懐っこかったロイの性格は変わってしまった」
(かわいそうな人……)
アメリは、塀の向こうにそびえるケプラー邸を見やった。
”愛”を否定したケプラーの冷えた瞳が、脳裏をかすめる。
父親の愛情を失ったケプラーは、自らも愛を信じることをやめ、一人孤独に戦い続けていたのだ。
父親を追い詰めた自分の類いまれなる才能を、彼は憎んでいるのだろうか。かつてのカイルが、災いの申し子として生まれた自らを憎んでいたように。
切ない気持ちで、アメリはやり切れなくなる。