うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
この一ヵ月、社長や家族から副社長とのことを聞かれても、誤魔化してばかりだった。

まだ彼に対する想いが恋愛感情なのか確信が持てずにいたから。

けれどこうして会う回数を重ねていけば、確かな気持ちになるのかな。

はやる気持ちを抑えて地下駐車場へ向かうと、見慣れた車の運転席には人影が。

さらに歩くスピードを速めて車へ向かい、ドキドキしながら助手席を覗き込むと、私には気づかず、なにやら副社長は難しい顔をしてタブレットと睨めっこしていた。

そして次にスマホを取り出し、どこかへ電話を掛け始めた。

会議では同席することがあり、会議中の彼の様子を見ることはあるけれど、副社長が仕事をしているところ、初めて間近で見た。

凛々しくてカッコいい。――素直にそう感じる。

電話を終えるまで待っていると、ふと彼と目が合い、面白いほどびっくりしたものだからペコリと頭を下げながらも、笑ってしまった。

少しすると電話を切り、副社長は乗るよう手招きしてきた。それがなんか私のツボに入り、胸をキュンとさせながら乗り込むと、副社長はすぐにエンジンをかけて車を発進させた。
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