うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
すぐに屈み、割れたお皿を片づけようとした私の手を彼は掴んだ。

「危ないから触らない方がいい」

さっきとは違い、今度はしっかりと彼に触れられ、心臓が壊れそうになる。

「やっ!」

ドキドキし過ぎて怖くて、思いっきり彼の手を振り払ってしまった。

けれどすぐに我に返る。だって副社長が今にも泣きそうな顔をしていたから。

「すみません……」

再び謝罪の言葉を繰り返すと、彼は明るく振る舞う。

「いや、俺の方が悪かった。突然触れたりして。……片づけは俺がやるから」

「でも……」

「いいから。キミは料理の盛りつけの方を頼む」

私の声を遮り立ち上がると、彼は割れたお皿を入れる袋とホウキなどを探しに行ってしまった。

その背中を見つめながら、後悔の波に襲われる。

副社長のこと、傷つけちゃったよね? だって泣きそうな顔をしていた。

違うのに。副社長に触れられて嫌だったんじゃないのに。それなら早く誤解をとかないとって頭ではわかっているのに、心がついてこない。
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